第13章 恋、気付く時(岩泉視点)
烏野との試合、第三セット、先にマッチポイントを迎えたのは青城だった。が、向こうがブレイクし、烏野のマッチポイント。烏野の同時多発位置差攻撃、花巻がレシーブをあげるも、乱れ、ボールはコートの外へ。
「頼む及川!」
「チャンスボォォル!!」
ボールを追う及川は俺を指さした。そして、コート外からのタイミングの早い超ロングセットアップ。
誰よりも一番多く、及川からのトスを打ってきた。家が近所で、親同士も仲がいい。小さい頃から何をするにもいつも一緒。バレーを始めたのも二人一緒だった。練習だって飽きるほど及川とやってきた。
「一君っ…!」
ベンチにいた莉緒が立ち上がり俺の名前を呼んだ。あの日の試合、俺は後に録画された試合を見た。莉緒が最後に四宮と出た試合。それは、今のこの状況と酷く酷似していた。あの日、莉緒のあげたトスを四宮は打てなかった────いや、打たなかった。コートの外からトスをあげる及川の姿があの日の莉緒と重なった。莉緒は自分が選手としてコートに立つのを諦め、自分の夢を俺らに託した。だからそれも全部背負って俺達はこの先に行かねえと行けねえんだ。
────ドンピシャ!!!
俺のスパイクは烏野の主将に拾われた。そして、ボールは繋がる。
「ラァストオオオオオオ!!!」
〝六人で強い方が強い〟
「繋げえええ!!!」
「チャンスボオオォル!!!」
烏野のエースのスパイクを渡が拾った。が、ネットに当たり、それが落ちようとした時、京谷がボールを上げた。
「京谷!!」
そしてそのまま烏野のコートへ。
「叩け影山!!!」
影山のスパイクに金田一がブロックに入る。そしたブロックされたボールは烏野の副主将の顔面に。ボールはまだ落ちてねえ…繋がってる。