第13章 恋、気付く時(岩泉視点)
「…言いたかないけど烏野は強敵だ。」
「お前が素直に言うなんて珍しいな。」
「前回で身にしみてるからね。油断すれば喰われる。最初っからブッちぎって行こう。」
「ハイッ。」
「っしゃあ!!」
「よーし、そんじゃあ今日も──「「「「信じてるぞ(よ)キャプテン。」」」」
俺ら四人の言葉に及川は驚いた様子だった。及川はいつも試合前に俺らに〝信じてるよ〟。そう声を掛ける。普段口にはしねえが、それは俺らだって一緒。ずっとライバル視してきた影山のいる烏野。コイツはすぐ目の前のモンが見えなくなる。だから、烏野とやる前にちゃんと俺らだってお前を信じてんだって事をちゃんと分かって欲しくて、三人に頼んだ。それに、花巻は、なんかいいな、そういうの、って言って笑った。松川もそれに頷いた。莉緒は及川にそういうの言うのなんかちょっと不満だけど、一君のお願いなら仕方ないなんて口にはしてたが、それが莉緒の本音じゃない事は分かってた。
「なんか照れる───「初っ端のお前のサーブを信じてる。ミスったらラーメン奢りで。」
「俺チャーシュー大盛り。」
「俺はギョーザ追加で。」
「私は杏仁豆腐付きで。」
「入れるだけサーブもダメな!」
「ホラ、一・二年も頼んどけ!」
「マジっすか!!」
誇らしそうに胸を張る及川が今迄で一番自信に溢れて見た。
「及川さんナイッサー!!」
「ナイッサァー!!」
「ショウユーウ!!」
「トンコォーツ!!」
「坦々めェーん!!!」
「決めてほしいの!?ミスってほしいの!?」
ホイッスルが鳴り、試合が始まった。