第13章 恋、気付く時(岩泉視点)
一セット目を先取し、始まった第二セット。伊達工の三年は部活を引退し、一、二年だけっつうのに、新しくデカいのも入ってる。まあ、動きは素人くさいが。ウチは別に長身の選手が揃ってる訳じゃないし、ブロックに特化した伊達工相手に気持ちいいように攻撃が決まらなかった。
「チャンスチャンス!!」
「ハイ!」
「岩泉!!」
スパイクを決めるが、向こうのリベロに拾われた。が、レシーブは乱れた。
「二口ラスト!!」
「オオッ!」
二口のスパイク、及川と金田一がブロックに入り、金田一の手がボールに触れた。
「ワンチ!」
「カバー及川!」
溢れたボールを及川が拾い、渡からのトス。それに及川がスパイクのモーション。伊達工の主将が素早くブロックに入る。それに及川がクロスで抜こうとするとセッターがブロックに、というより突っ込んできて、及川のスパイクが止められた。
「黄金ナイスキー!」
「ひえ~っ。」
「加減しろやコノヤロォオ!」
セッターにぶっ殺された伊達工の主将はそう言って怒鳴ったが、
「正直ちょっとスカッとしたな。」
「確かに。」
その俺の言葉に花巻が頷いた。
「聞こえてっから!!」