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【HQ】Egoist

第13章 恋、気付く時(岩泉視点)


 日曜日ということもあってか人が多く、映画館を出てすぐに立石とはぐれてしまった。立石が小柄っていうこともあってか、中々立石を見つけられずにいた。するとポケットに入れていた携帯が鳴った。立石からの着信だった。電話で何処にいるか聞き、無事合流出来た。連絡を取らないと見つける事が出来ないっていう事に正直俺は驚いていた。莉緒だったら、何処にいてもすぐに見つける事が出来るから、連絡を取るいう考えが頭から抜けていた。まあ、莉緒が目立つ容姿をしているせいもあるのかもしれねえが。不思議と昔からどんな人混みの中でも莉緒だけはすぐに何処にいるか分かった。そんな事を考えながら取った昼食は何だか味気なく感じた。昼食を終え、特に目的がある訳でもなく、ブラブラと街を歩いた。


「あの、岩泉さん。」
「ん?」
「また、はぐれたらあれなので…手を、繋いでもいいですか?」


 恥ずかしそうにそう言った立石。そうだ、莉緒といつも出掛ける時はそうしてるのに、それが頭からすっぽり抜けていた。


「それもそうだな。」


 そう言って繋いだ立石の手は莉緒より小さくて、温かかった。莉緒は体温が低くて、俺と手を繋ぐと、「一君の手、温かくて落ち着く。」そう言っていたのを不意に思い出した。隣にいるのは立石なのに、頭に浮かぶのは莉緒の事ばかりだった。


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