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【HQ】Egoist

第13章 恋、気付く時(岩泉視点)


 部活が終わり、莉緒に声を掛けると莉緒は彼女に悪いからと言って部室から出てきた金田一の手を取った。莉緒が金田一の手を取った事に少し苛立った。今までだってそういうことはあったし、いつもと何も変わらない筈なのに。ぺちゃくちゃと喋り続ける及川に五月蝿いと一喝し、及川と二人で帰った。帰り道、及川は立石との事をしつこく聞いてきて、うざったかった。聞いたところで俺が及川の求める答えを言う訳ないって、及川自身も分かってんだろうに。

 それ以来、教室や部活で莉緒と話す機会がめっきり減った。連絡を取ることも殆ど無くなった。立石に気を遣ってるというよりは、避けられてるって感じがした。今までそんな風に莉緒と距離を置いたことがなかったからそれがなんだか腑に落ちなかった。

 日曜日、体育館が点検の為、珍しく部活が休みになった。その為、付き合ってからそれらしい事を一切してなかったし、それに対して申し訳ない気持ちもあって、立石をデートに誘った。突然の誘いではあったが、立石はLINEの文面から見るにして喜んでいる様子が伺えた。駅前で待ち合わせをし、映画館へと向かった。莉緒と一緒に出掛ける事はよくあったが、それ以外の女子と出掛けるのは初めてで、柄にもなく緊張した。立石が見たいと言った映画を二人で見た。恋愛物の映画で、主人公の男が幼馴染みに好意を抱きながらも、他の女と付き合うといった話のもので。好きならごちゃごちゃ考えねえで男らしくビシッと決めろよ、なんて思いながら、恋愛物の映画なんて見たのは初めてで、練習疲れもあってか、途中から寝てしまった。立石に起こされ映画館を出たが、結局結末はどんな風になったのか分からず仕舞いだった。



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