第13章 恋、気付く時(岩泉視点)
昼休みも終わり午後の授業。夏休み終わりの大学生との練習試合、美鈴と一年半ぶりに再会し、莉緒は美鈴との関係を修復した。そのキッカケを作ったのが及川だということが癪に触った。普段及川に暴言ばっか吐いているが別に嫌いな訳じゃない。ガキの頃からの付き合いだし、信頼してるし、頼りにもしてる。なのに、及川が二人の仲を取り持った事に対し、釈然としない気持ちがあった。あの日以来俺は莉緒と二人になる事を避けていた。何が理由でそういう行動を取ったのか自分でも分からねえ。別に莉緒が嫌いになったとかそういうのじゃねえんだけど。なんて考えていたらいつの間にか放課後で、部活に行く為に莉緒に声を掛けた。二人で歩くのが何だか凄く久しぶりに感じた。
「一君の彼女って一年生?」
「いや、二年。」
「一君の良いところを私以外にも知ってくれてる人がいて安心した。一君、カッコいいのに、全然そういう話ないし。」
莉緒の口から思ってもいなかった言葉が出てきて驚いた。
「カッコよくはねえだろ。そういうのは及川みたいな奴の事をいうだろ。」
莉緒だってそう思ってる筈だと思い口にした言葉だったのに、その俺の台詞に莉緒は驚いた顔をしていた。
「え?一君、及川の事カッコいいって思ってるの?」
現に及川は女からモテるし、ファンも多い。女ってのはああいうのが好きなんじゃないのか?…まあ、性格に問題はあるが。