第12章 好きでいてもいいですか?(ヒロイン視点)
「皆で勉強しない日は及川と帰るから大丈夫だよ。ね、及川いいでしょ?」
その発言に及川は少し驚いた様子だったが、勿論だよ、と笑顔で答えてくれた。
「岩ちゃん、俺がちゃんと家まで送り届けるから心配しなくていいよ。」
その言葉に一君は一瞬顔を顰めたように見えたが、それならいいと了承してくれた。
それから一君に公言した通り、皆で勉強をしない日は及川と帰るようになった。及川と二人だと、いつも以上に見られてる気がして 私はそれが嫌だったけど、及川は全然気にしてないようだった。及川は私の気持ちも知っているし、私の話をよく聞いてくれた。一君の事は諦める、そう言ったのに、及川に不満を漏らすのは私が自分の気持ちを諦め切れてない証拠。
「莉緒ちゃん、今日も告白されてたでしょ?」
「なんで知ってんのよ…。」
「俺のクラスでも狙うなら今だなんて言われてるし、誰が告白したかなんて、すぐ噂になるよ。」
「…これ、いつまで続くのかな?」
「そんなに告白されるの嫌なら、俺と付き合ってる事にしちゃう?」
「死んでも嫌。」
及川といるのは楽だし、楽しい。及川の事を好きになれていたら、私も楽しい毎日を過ごせていたのかもしれない。けど、及川を好きになる事は絶対ない。及川は一君の親友で、私の良き理解者。一君との関係もそうだけど、及川との関係も壊したくない。でも、及川と二人で帰るようになってから、告白される回数は減った気がする。もしかしたら、及川と付き合ってるって噂されてるのかもしれない。だとしたら、私は及川にも迷惑をかけている。