第12章 好きでいてもいいですか?(ヒロイン視点)
放課後、半ば無理矢理誘われた勉強会。図書室に行くと、既に花巻と松川が席について勉強を始めていた。松川の隣に座り、私も鞄から分厚い参考書を取り出し勉強に取り掛かる。放課後だと言うのに、図書室は同じく受験勉強をしている三年生でいっぱいだった。
「ごめんね、HR長引いちゃった。」
そう言ってやってきた及川は花巻の隣に座り、わからない事があったらなんでも聞いてね、なんて言う。前回は主に一君に教えてもらっていたから知らなかったが、及川は教えるのが上手い。私が分からないと言った所を分かり易い言葉で伝えてくれる。それがなんだか悔しかった。
「悪い、遅くなった。」
一君はそう言って私の隣に座った。
「え?なんで?」
思わず本音が漏れた。だって、勉強会は及川と花巻、松川って、及川言ってたじゃん。ギロリと及川を睨むと、
「莉緒ちゃん誘った後に岩ちゃんに声掛けたんだよ。」
それなら先に一君も誘うつもりだと言ってくれたらいいのに。ていうか、及川は私の気持ち知ってる筈なのに。
「彼女送ってきたの?」
「ああ。」
だから遅れて来たのか、って思ったと同時に、湧き上がる嫉妬心。だめ、私はただの友達。友達としてずっと一君の傍にいたいと決めたのは私。そんな風に思っちゃいけないって分かってるのに、隣に一君がいるのが嬉しくて、恥ずかしくて。一君に彼女が出来てからあまり一君と一緒にいないようにしていたから、久しぶりに一君の隣にいれるのはなんだかくすぐったかった。