第12章 好きでいてもいいですか?(ヒロイン視点)
「ほんとバレー部仲いいよね。」
「羨ましい。」
「莉緒はさ、バレー部の中に好きな人とかいるの?」
突如振られた恋愛トークに思わず噎せた。
「松川君とか大人っぽくていいよね。」
「花巻君は一緒にいると楽しそう。」
「でも、悔しいけどやっぱ及川かな?顔だけはいいしね。」
「ないない。皆ただの友達。誰一人として私のことを恋愛対象としては見てないよ。」
「そうかなー?」
「でもさ、やっぱりバレー部の中だったら岩泉君じゃない?」
一君の名前が上がり、私はまた噎せた。私の気持ちが友人達にバレてるんじゃないかと思った。
「付き合うなら、及川か花巻君。結婚するなら岩泉君か松川君だな。」
「確かに。」
そう言って笑う彼女達。結婚するなら、なんて言って一君の名前が上がった事にモヤモヤした。前だったら、一君の良さを分かってくれる人が、なんて思ってたのに。
「莉緒はバレー部で誰か選ぶなら誰?」
「そんな風に見たことないからわかんない。」
「えーつまんない。」
その質問に真っ先に浮かんだのは一君。でも、それを口にしちゃいけない。私はずっと一君の友達でいたい。だから、この気持ちを口にしちゃいけない。
「てかさ、莉緒二組の堤君に告られてたでしょ?」
「OKしたの?」
「しないよ。よく知らないし。」
「えー勿体ない。イケメンなのに。サッカー部のエースだよ?爽やかでいいじゃん。」
「その前は一組の瀬尾君、あと、二年生の剣道部の…あのイケメン!なんだっけ?」
「康村君!」
「そう、それ!」
「…なんで知ってんの?」
話してもないのに、友人達はその事を知っていた。
「全部断った訳?」
「だって、知らない人だし。」
「勿体ない!」
「莉緒他にも告られてたでしょ?誰に告られたか白状しなさい!」
転校してきてから今まで、告白される事なんてなかったのに、青城祭が終わってから、告白されるようになったし、やたら校内で声を掛けられるようになった。