• テキストサイズ

【HQ】Egoist

第12章 好きでいてもいいですか?(ヒロイン視点)


「すみません。」
「いや、私の方こそごめん。」


 直ぐに美鈴さんが帽子を被せてくれたけど、突然泣き出したりしたもんだから、店内で注目されてしまい、足早に店を出た。そして、公園のベンチに座り、美鈴さんと話をした。


「莉緒、別に岩泉に彼女がいるからって諦める事は無いと思うよ。」
「及川にも似たような事言われました。」
「は?及川が?…何やってんのアイツ。馬鹿じゃない。」


 美鈴さんは怒ったような表情を見せた。及川と同じと言ったのがまずかったのだろうか。


「奪いなよ。」
「え?」
「結婚してる訳じゃないんだし、奪えばいいのよ彼女から。好きって気持ちを押し殺して隣にいるのってしんどいよ。岩泉の彼女がどんなヤツか知らないけど、莉緒が岩泉を好きだって言うなら私は莉緒を応援する。散々辛い目に合わせておいて、って思うかもしれないけど、私は莉緒に笑っていて欲しい。」


 美鈴さんがそう言ってくれるのは素直に嬉しいと感じたけど、だからと言って私が二人の仲を裂いていい訳じゃない。今まで一君を振り回した分、私は一君の幸せを誰よりも祝わなければならない。それが自分の気持ちを押し殺してしまう事になったとしても。


/ 330ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp