第12章 好きでいてもいいですか?(ヒロイン視点)
「試合、見ました!凄かったです!あんな凄いスパイク取るなんて…!感動しました!私も最近までリベロやってて、あんな風に動けるなんて、本当に凄い!いつもどんな風に練習してるんですか!?いつからリベロを!?」
つい興奮して、勢いよく話し掛けてしまった。彼の顔は試合が終わったばかりで血行が良かったせいか、顔が赤い。握った彼の手も温かい。そして彼の目から涙が溢れた。────しまった、初対面なのに私凄く図々しい。手まで握って。気持ち悪がられた。そう思い、手を離すと、烏野のリベロはその場に蹲った。
「美女が俺の手を────!」
突然そう叫んだ彼に驚いた。…嗚呼、嫌だな。容姿の事を言われるのは好きじゃない。好きでこんな顔に生まれた訳じゃないのに。
烏野のリベロは勢いよく立ち上がり、今度は私の手を掴んだ。
「烏野高校二年の西谷夕です。リベロは小学生の頃からずっとやってます。試合見てくれてありがとうございました!」
そう言って笑顔を浮かべる彼。その笑顔にさっきまでの不快感が消えた。
「私、青城バレー部マネージャーの橋口莉緒です。」
「ノヤっさん!表彰式始まんぞ!」
「おう、今行く!それじゃあ、失礼します。」
私に頭を下げると、コートの方へ走って行った西谷。それに続く影山と十番の子。
「────次にそこに立つのは青城だから。」
来年、私達はそこに立てないけど、後輩達ならきっと、烏野も白鳥沢も倒してくれるって信じてる。