第12章 好きでいてもいいですか?(ヒロイン視点)
なんとかマッチポイントを凌ぎ、烏野のセットポイント。セッターのサーブ、軟打で白鳥沢の返球を乱した。────上手い。
「チャンボ!!!」
そのまま返ってきたボールを烏野のリベロが拾い、セッターがトスをあげた。十番も速いテンポでスパイクの姿勢に入ってる。でも、あげられたトスは短く、スパイカーに届いていない。────落ちる。そう思ったのに、身体は右に流れながら左手でボールを返した十番。そして、そのボールはそのまま白鳥沢のコートへ転がった。
「いよアアァアアアアァシャアアアアアアア!!!」
第四セット、一次は白鳥沢のマッチポイントを迎えたのに、烏野が取った。県予選レベルの試合じゃない。
そして迎えたファイナルセット。スタンーティングメンバーから九番のセッターが外された。試合のホイッスルが鳴り、白鳥沢のサーブからスタート。リベロ以外の全員のシンクロ。キレのあるジャンプサーブ。開いた点差は一気に縮まる。そして、ウシワカのスパイクにブロックに入った烏野の十一番。今のプレーで負傷したのか、選手交代。ここにきてブロックの要であろう十一番が抜けるのは痛い。白鳥沢のブロックに阻まれ、8-4。点差が開いてく。コートチェンジ、白鳥沢にブロックされ、跳ね返ったボールを十番が顔面で拾った。五番の速攻が決まり、烏野ブレイク。8-6。そしてシンクロが決まり、9-7、セッター交代。戻ってすぐ、強力なジャンプサーブ。白鳥沢の返球は乱れ、そのまま烏野のコート。セッターファーストタッチからのセットアップ。十番の真下打ち。9-8。そして、先に白鳥沢が十点台に乗った。ウシワカのスパイクをコートから離れ場所からブロックした十番。────ブロックじゃない、超至近距離レシーブ。それがそのまま決まり烏野も十点台。烏野のピンチサーバーにより、形勢は逆転。13-12。だけど、白鳥沢がブレイク。白鳥沢のマッチポイントを迎えた。