第12章 好きでいてもいいですか?(ヒロイン視点)
二セット目、一セット目と違い、点差が開かない。正に一進一退。差があったと思っていたのに、烏野は白鳥沢に食いついていく。白鳥沢五番のブロックに止められながらも、確実に点を稼いでいく烏野。烏野のリベロはもうウシワカの打球を完全に拾っている。ブロックも、白鳥沢の攻撃に追いついてきている。そして、第二セット、烏野のマッチポイント。烏野の十一番がウシワカのスパイクをどシャット。29-31で烏野が第二セットを取った。あんな凄いスパイク、私だったらあんな風には止められない。身長があったとしても、あんな力強いスパイク止められない。────私もあんな風な試合をしたい。決勝戦に立つ彼等を見て、また諦めていたバレーへの気持ちが膨らんでいった。
三セット目、20-25で白鳥沢がセットを取った。烏野のリベロも凄いけど、それを上回る圧倒的な存在感ウシワカ。あの及川がライバル視する凄いスパイカー。そんなスパイカーのスパイクを受けれる烏野が羨ましい。
そして始まった四セット目。白鳥沢の八番もいいスパイクを打つ。五番のブロックもそう。あんなに毎回どシャット決められるなんて、ブロッカーとしての彼の存在感は群を抜いてる。一人一人が強いチームっていうのはこんなにも凄いものなのか。でも、烏野だって必死にボールを繋いで、ちゃんと食いついてる。私と身長差もさほどないであろうあの烏野の十番。スパイクで跳び、囮で跳び、ブロックで跳び、身長差をその瞬発力、運動量で補ってる。あんな風にコートを跳び回れたらどんなに楽しいか。
第四セット、22-23。その時初めて烏野のセッターのトスが乱れた。───長い。タイミングを合わせ跳んできた十一番はそれに咄嗟に合わせフォロー。
22-24。
烏野のセットポイント。
セッターは誰よりもボールに触り、敵のブロッカーのプレッシャーを受けながら、正確なコントロールを求められる。────体力の限界なんだ。けど、交代はない。あのセッターの凄さは観客席からだって分かる。あのセッターなしでは多分烏野は白鳥沢と互角に戦えない。祈るような気持ちで試合を見守ったが、運は白鳥沢に味方をしているのか、26-25、白鳥沢のマッチポイント。