第12章 好きでいてもいいですか?(ヒロイン視点)
及川と別れ、席を移動した。割と前の方の席。さっきよりもコートが近い。ウシワカのプレーを間近で観れる。食入るようにして試合を観戦した。
烏野は、一セット目序盤で点差を大きく離された。点差は九点。誰もウシワカのサーブを返せていない。あのサーブを私も受けてみたい。及川のサーブだって凄いと思うけど、ウシワカのサーブも大砲のよう。こんなに凄いサーブなのに、全力じゃないというから驚きだ。次点を取られたら十点差。
「サッ来オォォイ!!!」
撃ち込まれた強力なサーブ。烏野のリベロが取りに入る。そして────
「──あ上がったアアアア!」
あの大砲のような威力のサーブを私とさほど変わらない身長であろう烏野のリベロが上げた。
「…すっごい、」
私だったらあんなに早くウシワカのサーブに対応し切れるだろうか。…ううん、きっと出来ない。その後も烏野のリベロはウシワカのスパイクを拾う。…凄い。私もあんな風にボールを拾いたい。そして、セッターにボールを繋げたい。
「烏野のリベロ凄いね。」
「はい!」
美鈴さんも烏野のリベロを褒めた。美鈴さんは同じチームの選手の事は良く褒めるけど、他のチームの人を褒める事は早々ない。そんな美鈴さんも烏野のリベロの守備力の高さを賞賛した。
だが、一セット目、16-25で白鳥沢がセットを先取した。