第11章 恋、気付く時
才能の開花のチャンスを掴むのは今日かもしれない。若しくは明日か明後日か来年か三十歳になってからかもしれない。体格ばかりはなんとも言えないけど。無いと思ってたら多分一生無いんだ。
俺を、仲間を、信じて繋いでくれるレシーブ。そして俺は信頼してる仲間達にトスをあげる。────才能は開花させるもの。センスは磨くもの。バレーは六人で強い方が強い。それを教えてくれた最高の相棒と、俺を信じ、俺が信頼する仲間と共に勝って決勝に行く。
「繋げえええ!!!」
「チャンスボオオォル!!!」
「寄越せェェェエ!!!」
来い。お前の最強の武器で来い。飛雄!!!
おチビちゃんにあげられたトス、それに三枚ブロック。────ここだ。これで最後にさせない。決勝に行って白鳥沢に勝って全国に行くのは俺達青城だ。
おチビちゃんのスパイクは金田一のブロックに当たり機動が変わった。俺の手に当たったボールを捉えきれず後方へ転がった。
「しゃあぁあああああああ!!」
試合の終わりを告げるホイッスルが鳴った。セットカウント2-1。
「これで一勝一敗だ。チョーシ乗んじゃねーぞ。」
「…乗れません。」
試合が終わり、監督と溝口君の元へ。
「…何を言おうとも結果は結果のまま。悔しさが薄まる事も無い。後悔の残るプレーもあるだろう。それでも先ずは言わせてもらいたい。よく戦った。」
応援席への挨拶、岩ちゃんの背中が小さく見えた。人一倍責任感の強い岩ちゃん。あのトスに合わせて跳んでくれた岩ちゃん。そんな自慢の相棒の背中を力強く叩いた。───ありがとう。
「ありがとうございました!!!」
観客席に頭を下げた。
これで俺達のバレーが終わった訳じゃない。チームの終わりじゃない。