第11章 恋、気付く時
「バスが来たから荷物積んでくれる?まだ来てない奴ら呼んでくるから。」
「ハイ!」
そう後輩に声を掛け、まだ来てない部員達に声を掛けに体育館へ戻った。すると、こんなタイミングでウシワカ。無視して皆を探しに行こうと思ったのに、ウシワカの方から声を掛けてきた。
「忠告だ及川。もう道を間違えるな。お前は道を間違った。もっと力を発揮できる場所があったのに取るに足らないプライドの為にお前はそれを選ばなかった。」
「それは青城じゃなく白鳥沢に入るべきだったってことでOK?
成功が約束されたチームなんか無いだろ。」
俺は白鳥沢の推薦を蹴って青城を選んだ事を少しも後悔していない。
「少なくとも今ここでは俺の居るチームが最強のチームだろうが?」
さも、それが当然かのように言うウシワカ。
「ハッ!!!相変わらず面白くないくらいの自信だな!
…〝取るに足らないプライド〟。…確かにね。
聞けよ牛島。俺は自分の選択が間違いだと思った事は一度も無いし俺のバレーは何ひとつ終わってない。取るに足らないこのプライド絶対に覚えておけよ。」
「…?」
「ああ、それとね、俺ばっか注視してると思ってもみない方向からブッスリ刺されるからね。」
「?どういう意味だ。」
「俺の後輩、頭悪いし、まだぜーんぜん俺に敵わないけど、それでも独りでなくなったあいつは強いよ。カラスは群れで大きな白鷲さえ殺すかもね。」
それだけ言って、俺はウシワカの前を去った。