第11章 恋、気付く時
「烏野雰囲気違うねえ…。」
伊達工を下し、準決勝に駒を進めた俺達。準決勝、烏野との試合。
向こうのボールが転がってきて、それを拾おうとボールに手を伸ばすと、そのボールを飛雄が掴んだ。
「これはこれは前回俺にこてんぱんにやられた飛雄ちゃんじゃないですか。」
「今回は勝ちに来ました…!」
ボールから手を離さない飛雄とボールを引っ張り合う形になった。
「お前は前回完封なきまでに凹ましたからな!残すはウシワカ野郎ただ一人!!
今回も退いてもらうぜ飛雄!!」
引っ張り合っていたボールから手を離せば、飛雄は後ろに転げた。それを見て笑う。
「及川これで高三か…。」
マッキーから憐れむような視線を向けられたが気にしない。
そして試合開始の合図が鳴った。
「お願いしまーす。」
「お願いします。」
主将の澤村君と握手を交わす。先程の試合では怪我をしたみたいだけど、足取りもしっかりしてる。──大丈夫そうだ。
「身体は大丈夫なんだ?」
「ああどうも。長く休んでむしろ元気だ。」
「マジですか。
なーんか澤村君貫禄ついたんじゃない?」
「…この四ヶ月けっこうな曲者達に揉まれて来たんでね…。」
そう言った澤村君の目は据わっていた。
「よくわかんないけどお疲れ。」
「裏が青葉城西。表が烏野です。」
投げられたコインは表。
「先レシーブで。」
「じゃあサーブで。」