第2章 彼女の素顔
あの日の莉緒ちゃんの笑顔が忘れられなくて、気が付くと莉緒ちゃんの笑顔を思い出し、また、ありがとうの意味を考えてた。女の子相手にあんなスパイクを打ち込んだんだから、普通なら怒ってもいい所なのに、莉緒ちゃんは嬉しそうだった。
3対3の次の日に、手が痛むだろうから手伝おうとしたら、案の定怒られた。本人は大丈夫だって言うけど、あんなに赤く腫れてたんだから、痛いと思う。それに、怪我を負わせた負い目もあるし、手伝わせて欲しかったのに、莉緒ちゃんは絶対イエスとは言わなかった。まっつん、マッキー、金田一も、怪我を気にして、手伝うと言ったが、三人も俺同様怒られていた。
「あ、次五組と合同体育じゃん。」
「ラッキー!橋口さん見放題!」
「レクレーションでドッヂボールだってよ。」
「げ、ドッヂだったら、あんま見れねーじゃん。」
俺のクラスでも莉緒ちゃんは人気で、一週間に一回ある隣のクラスとの合同体育の時間。男子共は大喜び。
「及川はいいよなー、部活一緒だし。」
「部活中の莉緒ちゃん、こんな眉間に皺寄せてて怖いよ。」
「なんだよ、それ。」
莉緒ちゃんの怒った顔を再現すると、皆に笑われた。
体育館に行くと、体育服姿の莉緒ちゃん。部活の時はジャージを羽織ってるから分かんなかったけど、やっぱり腕は大きな青痣になっていた。
「やっぱ、可愛いよなー。」
莉緒ちゃんは男子達の全員の視線を集めた。でも、莉緒ちゃんはそれを気にする素振りはみせなかった。