第2章 彼女の素顔
「莉緒ちゃんごめん!大丈夫!?」
慌てて莉緒ちゃんに駆け寄ると、俺のスパイクを拾った莉緒ちゃんの腕は真っ赤になっていた。倒れた莉緒ちゃんの肩を岩ちゃんが抱き、莉緒ちゃんを起こした。起き上がった莉緒ちゃんと目があった。その目は鋭く俺を睨みつけた。
「今、本気だった?」
「ごめん、ついムキになっちゃって、本当ごめん!」
そう言って頭を下げると、
「ありがとう。」
「え?」
頭を上げると、莉緒ちゃんは笑ってた。
俺はその時、莉緒ちゃんがどうしてそんなにも嬉しそうに笑っていて、ありがとうって言ったのか分からなかった。