第11章 恋、気付く時
当の本人にそう言われてしまえば、出来る事といえば、岩ちゃんの彼女を口説く事位。今までの子だったら割とすぐに俺の方に靡いてくれたけど、やっぱり彼女っていうポジションを獲得してるせいか、今回はそれが全然上手くいかなかった。
莉緒ちゃんも至っていつも通り。莉緒ちゃんがそれでいいと言うなら、俺もバレーに集中しようと思った。でも、今の彼女が岩ちゃんに相応しいとは思ってないし、可能なら別れて欲しいと思う気持ちは変わらなかった。まあ、そんな事、口が裂けても岩ちゃんには言えないけど。
そして迎えた、十月二十五日、仙台市体育館。春高バレー宮城県代表決定戦。インターハイ予選のベスト八、春高一次予選を勝ち抜いた八チームが集まる。
莉緒ちゃんがマネージャーになってからの初めての公式戦。このチームでムカつく牛若のヤローをぶっ飛ばして、皆と一緒に全国に行くんだ。気合いを入れて体育館に踏み込んだのに、早速莉緒ちゃんは注目の的。
「青城ってマネージャーいたっけ!?」
「うわ、超可愛い!」
「声掛けに行こうぜ!」
その声に早速莉緒ちゃんは不機嫌でムスッとした様子。そして莉緒ちゃん以上に不機嫌だったのが岩ちゃんと狂犬ちゃん。ただでさえ目付きの悪いのに、今日は一際目付きが悪かった。