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【HQ】Egoist

第11章 恋、気付く時


 放課後、月曜日は部活はオフ。部室で莉緒ちゃんを待っていると狂犬ちゃんと一緒に部室にやってきた莉緒ちゃん。


「狂犬ちゃん、莉緒ちゃんと二人で話がしたいから、外で待っててくれる?」


 俺の言葉に一切耳を傾けず、腕組みをしながら莉緒ちゃんの後ろに立ったまま動こうとしない狂犬ちゃん。


「莉緒ちゃん。」
「賢太郎いたらまずい訳?」
「昨日の事なんだけど、」
「賢太郎、外で待ってて。」


 そう言って、半ば強引に莉緒ちゃんは狂犬ちゃんを外に追い出した。


「…昨日の事って何?あの件だったら見なかった事にして欲しいんだけど。」
「俺にとって岩ちゃんは幼馴染みで親友で相棒で、兎に角大事な存在な訳。岩ちゃんって見た目通り不器用な性格だし、恋愛に関してはまあ、俺のせいもあるけど超初心者。部活と両立出来るなんて思えない。でも、岩ちゃんが決めた事だから別れろなんてそんな事は言えない。でも、俺にとっても岩ちゃんは大事な存在な訳。だから、岩ちゃんの彼女は俺も認める人であって欲しい。俺の大事な相棒を任せられる存在の人じゃないとイヤだ。
だから俺はどこの誰か分からないあの子じゃなくて、彼女でいて欲しいと思うのは莉緒ちゃんなんだよ。だから、彼女から岩ちゃんを取り返そう!俺達の手で!」
「及川…重たい。」
「なんで?いい事しか言ってないでしょ!?」


 小っ恥ずかしい事ばっかり言ったけど、その言葉に嘘はない。全部本心。岩ちゃんに彼女が出来て一緒にバレーをする時間が減るのは嫌だけど、その彼女が莉緒ちゃんなら、岩ちゃんを譲ってもいいかなって思ってるのに、重たいって酷い。


「私は二人の仲を邪魔しようなんて思ってない。」
「何も邪魔しろなんて言ってる訳じゃないよ。諦めないで欲しいだけなんだよ。」
「及川、私は大丈夫だから、心配してくれなくても平気。代表決定戦も近いし、そういうのに惑わされたくないから。だから及川もバレーの事だけ考えて。」


 莉緒ちゃんは良くも悪くもバレーに真っ直ぐで、俺達と一緒で恋愛よりもバレー優先。そんな莉緒ちゃんだから、俺は岩ちゃんにお似合いだと思うんだけどな。


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