第11章 恋、気付く時
次の日、朝練で会った莉緒ちゃんはケロッとしていた。いつも通りちゃんとマネージャーの仕事をし、岩ちゃんとも普通に話してる。昨日あんなに泣いてたのが嘘みたいに。
「莉緒ちゃん、俺の前では無理して笑わなくていいからね。また昨日みたいに俺の胸で泣いていいんだからね。」
「誰かに聞かれたら勘違いされるでしょ!」
持っていたノートで頭を叩かれた。
「莉緒ちゃん、今日もサークル行くの?」
「そのつもりだけど。」
「サークル行く前に少しだけ時間作れないかな?」
「…いいけど。」
「じゃあ放課後部室でね。」
ウインクをしてそう言うと、気持ち悪いとドン引きされた。
俺の前ではいつも通り振舞わなくていいのに。無理していつも通りを取り繕う莉緒ちゃんは、見てる俺の方までなんだか苦しくなる。