第11章 恋、気付く時
「邪魔するぞ。」
勢いよく開けられたドア。ズカズカと部屋に入ってくるなり、寝転ぶ俺の隣に腰を下ろす岩ちゃん。
「何、岩ちゃんどうしたの?デートは?」
「終わった。」
「え?もう?」
「そういうお前こそ、莉緒はどうしたんだよ?」
「ちゃんと家まで送って行ったよ。」
「…そうか。」
それだけ聞いて帰ろうとする岩ちゃん。え?何?それだけ聞きにわざわざウチに来た訳?
「え、岩ちゃん、わざわざそれ聞きに?」
「…お前と二人で出掛けるなんて今まで無かったから何かあったんじゃないかと思っただけだ。…莉緒泣いてたし。」
「まさか莉緒ちゃんの事心配で彼女と早く別れたの?日曜日に部活が休みなんて機会早々ないのに勿体無い。」
それに対し、そうだな、と岩ちゃんは答えたけど、歯切れの悪い返事。そして、岩ちゃんはそのまま部屋を出て行った。
これってもしかして、莉緒ちゃんが頑張ればチャンスはあるんじゃないかな?でも、岩ちゃんが莉緒ちゃんの事を気にかけてるのはいつもの事だし、それが抜けなくて、ってことも有り得るし、聞いたってそう答えるだろうし。
岩ちゃんの事は本人よりも理解してるつもりだったけど、何だか岩ちゃんの事がよくわからなくなった。