第11章 恋、気付く時
岩ちゃんに彼女が出来てから、莉緒ちゃんは元気が無いように思えた。部活の時だって、いつも通りだし、よく笑う。でも、その笑顔は無理をして笑ってるようで、見てるこっちがなんだかしんどかった。
日曜日、体育館の点検の為部活か休みになり、莉緒ちゃんを強引にデートに誘った。案の定凄く嫌がられたけど、次第に笑顔を見せてくれるようになり、その笑顔にホッとした。
お昼を済ませ、次は何処に行こうかと話してると、莉緒ちゃんが急に立ち止まった。その莉緒ちゃんの視線の先には岩ちゃんと彼女が手を繋いで歩く姿。それを見た莉緒ちゃんは急に走り出した。慌てて莉緒ちゃんを追いかけようとするが、莉緒ちゃん、思った以上に足が速い。あっという間に莉緒ちゃんを見失ってしまった。
「及川!」
「岩ちゃん…!」
岩ちゃんに呼び止められ、莉緒ちゃんとはぐれてしまった事を話すと、岩ちゃんは彼女を俺に預け、走っていってしまった。彼女をおいて他の女の子を探しに行くなんて如何なものかと思うよ、岩ちゃん。なんて声をかけたかったけど、そんな事を言う暇もなかった。
「えっと、デートの邪魔してごめんね。」
「大丈夫です。」
俺まで岩ちゃんの彼女を放って莉緒ちゃんを探しにいくわけにもいかず、岩ちゃんの彼女と岩ちゃん達の帰りを待った。
「彼氏他の女の子追い掛けていっちゃったけど、そんな彼氏でいいの?」
「岩泉さんは優しい人なので。」
「俺だったらそんな事しないよ?岩ちゃんなんかやめて俺にしとけば?」
「岩泉さんじゃないとダメなんです。」
スキあらばと岩ちゃんの彼女を口説くけど、彼女はいつもそればっかり。