第2章 彼女の素顔
チームは、俺・マッキー・まっつん対岩ちゃん・金田一・莉緒ちゃんの組み合わせ。
「言っとくけど、俺と金田一は本気で打ち込むからな。お前らは加減しろよ。」
「岩泉、始まる前からそういう事言うなよ!」
「自分は莉緒ちゃんに怪我させたくないからって、卑怯だぞ!」
「はいはい、喧嘩しなーい!」
サーブ権は俺達のチームから。莉緒ちゃんを狙わなければサーブは別にいつも通り打っていい訳なんだから。そう思いながら金田一の方へいつも通りサーブを打ち込んだ。金田一は俺のサーブを拾えず、まずはこっちの一点。
「すみません!」
「気にすんな!一本しめてくぞ!」
「はい!」
次も金田一を狙ってサーブを打った。今度は金田一は俺のサーブを拾ったが、乱れた。その乱れたボールを莉緒ちゃんが上手くトスをあげる、岩ちゃんの速攻。誰も反応出来なかった。スパイクも打てて、あんなに綺麗にトスも上げられるなんて、想像以上なんだけど。
ラリーはどんどん続いていく。俺も含め、マッキーとまっつんは相手チームに思いっきりスパイクを打てないのが結構痛くて、こっちの劣勢。莉緒ちゃんは本気じゃない二人のスパイクはなんなく拾う。正直、莉緒ちゃんが女の子じゃなかったら、間違いなくうちのレギュラー。サーブ、レシーブ、トス、アタック、どれをやらしても上手い。岩ちゃんとは多分一緒に練習することがあるんだろうか、息ピッタリだし、初めて組むはずの金田一にもいいトスを上げてる。
「っクソッ!」
向こうのマッチポイント、金田一のブロックを避けようと、ストレートからクロスに変えた時、その先には莉緒ちゃんがいて、しまったと思った時にはいつも通りスパイクを打ってしまった。
「及川、バカ、おま、何やって!」
俺の強いスパイクを莉緒ちゃんは、完璧に拾ったが、ボールの威力が強かった為、莉緒ちゃんは後ろにひっくり返った。そして、莉緒ちゃんが上げたボールから岩ちゃんのスパイク。倒れた莉緒ちゃんが心配で、ボールには誰も反応出来なかった。