第10章 恋、気付く時(ヒロイン視点)
昼休みも終わり午後の授業が始まる。授業を受けながらぼんやりと考える。今まで当たり前のように一君の傍にいたけど、やっぱり一君とは距離をおいた方がいいのかな。彼女としては、マネージャーとはいえ、他の女が自分の彼氏と親しければいい気はしないだろうし。まあ、私彼氏いた事ないし、そういうのよく分かんないけど、友達から聞かされる恋愛トークではそんな話がよく出てくるから、ただの友達である私が彼女のいる一君の傍にいる事は良く思われない筈だ。私が男だったら一君が彼女が出来たって傍にいれたのに。なんで私は女なんだろう。及川が羨ましい。
なんて事を考えたらいつの間に授業も終わり放課後。
「行くぞ莉緒。」
「あ、うん。」
なんだか久しぶりに一君と二人っきりで歩く気がして、少し緊張した。
「一君の彼女って一年生?」
「いや、二年。」
「一君の良いところを私以外にも知ってくれてる人がいて安心した。一君、カッコいいのに、全然そういう話ないし。」
「カッコよくはねえだろ。そういうのは及川みたいな奴の事をいうだろ。」
「え?一君、及川の事カッコいいって思ってるの?」
一君のその意外な言葉に驚いた。まあ、確かに及川は顔は整ってるし、綺麗だと思うけど、なんていうか残念なイケメン。あれで中身が一君ならそれはそれはモテただろうに。というか、一君だって男らしくてカッコいいと思うけど、これが男女の感性の違いというやつなのだろうか。