第10章 恋、気付く時(ヒロイン視点)
翌朝、いつも通り学校へ向かう。いつも通りの朝練。いつも通りな筈なのになんだか心が落ち着かない。風邪でもひいたかな?
昼休み、友達と飲み物を買いに行くと、及川と一君の彼女。一君の彼女を壁に追いつめてるように見えた。
「及川何やってんの?」
持っていた財布で軽く及川の頭を叩いた。
「いや、ね。岩ちゃんから俺に乗り換えないかなー?って思って。」
一君に彼女が出来るのが嫌だからってそんなことするか普通?顔を真っ赤にして俯く彼女は私よりも小さくて、女の子らしい子だった。大人しそうな子。でも、一君に自分から告白したって事は、結構大胆。
「ごめんね、うちの主将が。キツく叱っとくから。」
「及川!」
一君の声に及川は驚いたようで、恐る恐る振り返るといった様子だった。
「お前ら何やってんだ?」
及川に一君の彼女に私と妙な組み合わせに一君は顔を顰めた。事情を説明しようとすると、彼女が一君の元に駆け寄って、一君の服を掴んだ。
「どうした?及川に何かされたか?」
優しい声で彼女にそう尋ねる一君。それに大丈夫と答える彼女。そこにいるのはいつも私だった筈なのに。一君の隣は一君の彼女の場所。
「莉緒ー!行くよー!」
「あ、うん。」
友達に名前を呼ばれ、友達の元へ戻った。何故だかモヤモヤが消えない。