第9章 彼女と最後の青城祭
青城祭二日目。昨日同様バレー部は大盛況。可愛い女の子と握手して、写真を撮って、楽しい時間ではあるけれど、流石に数が数だけに疲労感が滲み出る。喉乾いたな、休憩少し貰おうかな、なんて思ったタイミングで莉緒ちゃんが差し入れと言ってスムージーを持ってきてくれた。それを渡してすぐ、溝口君と行ってしまった。なんだ、溝口君今日来てたんだ。なんか、莉緒ちゃんに腕組まれて照れたように笑う溝口君の顔にちょっとだけイラッとした。ていうか、溝口君、ちゃんと宣伝のプラカード持ってるし。溝口君、コーチだけど、一応外部のお客さん扱いなのに。
ミスターコンが始まる少し前、岩ちゃんと交代し、体育館へと向かった。去年も一昨年も出場したミスターコン。メンバーも変わり映えしない。例年通り。少し意外だったのが、ミスターコンに国見ちゃんが出場してた事。こういうのは絶対やらなさそうなのに、それだけが意外だった。
「及川さん、俺何もしないで諦めるつもりはありません。」
なんて言われ、ちょっと、いや、かなり驚いた。まさか国見ちゃん、そんなにミスター青城に選ばれたいなんて思わなかったから。
「及川さんだって負けないよ。三連覇かかってるし。」
「…はあ、そうですか。」
さっきまでの意気込みはどうしたのか、可哀想なものでも見るような冷たい視線、いつも通りの国見ちゃん。
ミスターコンが始まり女の子達の歓声を受けステージに上がる。国見ちゃんがステージにあがると、物凄い歓声。国見ちゃん、綺麗な顔してるから、年上から非常にモテる。でも、俺だって負けていられない。最後に名前を呼ばれステージに立つと、今日一番の歓声。得意のウインクを観客席に向ける。
アピールタイムも終わり、結果発表は夕方。
ミスターコンが終わり今度はミスコンが始まる。女の子達は煌びやかなドレスに身を包み、ステージにあがる。そして莉緒ちゃんの名前が、呼ばれステージへ上る莉緒ちゃん。ミスコンに出場する女の子はどの子も可愛いけど、莉緒ちゃんだけは、別格だった。野太い歓声をあげる人達、息を呑む人達と反応は様々だったけど、誰しもが莉緒ちゃんの姿に見とれていた。