第9章 彼女と最後の青城祭
得意のスマイルと、口説き文句、もう何十、何百と吐いたか分からない。得意の笑顔がなんだか引きつってるような気がしてならない。撮影係のマッキーに尋ねれば、「腹立たしい位カッコイイから安心しろ。」と言われた。溢れ出る疲労感とは裏腹に、俺の表情筋は疲れ知らずらしい。
「及川、差し入れ。」
そう言って差し出されたスムージー。そこにはバレー部の宣伝プラカードを持った国見ちゃんと、その国見ちゃんと腕を組む莉緒ちゃん。
「大繁盛ですね。」
「おかげさまで。国見ちゃんは随分と楽しそうだね。」
なんとも読み難い表情な国見ちゃん。真顔でピースをしてみせる。
「花巻、こっち撮って。」
そう言って、座る俺の後ろに並ぶ二人。そしてそれを撮影するマッキー。
「ここは一旦五時で切って、残りの一時間は一君が代わってくれるって。じゃあ頑張ってね主将。」
写真を撮り終えると、再び国見ちゃんと腕を組んでいってしまった二人。
現像された写真がうっすら浮かび上がってくる。その写真を見て、思わず笑みがこぼれた。残りあと一時間半頑張ろう。
「まっつん、休憩ありがとう。もう大丈夫。再開しよう。」