第9章 彼女と最後の青城祭
「ねえ、ねえ、皆のクラス青城祭何すんの?」
「クレープ。」
「それ、マッキーの意見?」
「甘いもんないとやる気でねーだろ。」
「まっつんとこは?」
「お化け屋敷。」
「及川さんのクラスはね、イケメンカフェだよ。」
「はいはい、ただの喫茶店な。」
「今年も焼肉はいただきだからね!」
九月の末にある、青城祭。売り上げが一位だったクラスには景品として焼肉食べ放題が与えられる。一、二年の時もこのイケメンぷりを活かして、呼び込み、接客をし、二年連続俺のいるクラスは売り上げ一位。クラスの皆も普段は全然相手にしてくれないくせに、ここぞとばかりに俺を持ち上げてくれる。嬉しいような、悲しいような。
「で、及川今年は部活の方はどうすんの?」
「去年はステージ立って、まあ楽しかったけどさ、バレーする時間が短くなるのはちょっとねー。」
「だなー。」
「ちーっス。」
部室にいつもより少し遅れてきた岩ちゃん。
「あ、岩ちゃん。今日は珍しく遅かったね。」
「HR長引いてよ。青城祭何やるか話全然まとまんねーし。」
「で、岩泉の所は何すんの?」
「まだ決まってねーよ。で、こっちはどうすんだよ?」
「あ、それ今話してたとこなんだけどね、まあ正直時間はフルで部活に使いたいし、あんまり時間取らなくてもいいやつがいいんだけどね。」
「じゃあ一年の時みたいに焼きそばにするか?」
「鉄板暑くて汗かいちゃうからなー。」
「一年の時お前、結局焼きそば作らなかったじゃねえかよ!」
「あれー?そうだっけ?」
言われてみれば、一年の時は、宣伝に行ってそのまま先輩達や他校生に捕まって、戻らなかったな。