第7章 交わる想い
「二度と莉緒に手を出すなっつったろーが!」
そう言って、莉緒ちゃんを抱き締めたまま、四宮さんに怒鳴る岩ちゃん。莉緒ちゃんが岩ちゃんに対して絶対的に信頼を寄せてる理由は分かった。でも、どうして岩ちゃんは、こんなにも必死になって莉緒ちゃんを守ろうとするのか。それが分からなかった、莉緒ちゃんが可愛いからとかそんな単純な理由ではない気がする。まあ、岩ちゃんの中に何かを可愛いと思う意識があるのかは怪しい所だけど。
「一君、大丈夫。もう、大丈夫だよ。」
そう言って笑う莉緒ちゃんに、状況を理解したのか、岩ちゃんは莉緒を放した。
「…許したのか?」
「別に私は怒ってた訳じゃない。謝らなきゃって思ってた。でも、勇気がなくて、ただ、怖かっただけ。でも、もう大丈夫。一君、ありがとう。」
「俺は、莉緒がお前を許したからって言って、お前のした事を許すつもりはねえ!」
「別に岩泉に許されたいなんて思ってないし。」
すっかりいつもの調子の四宮さんを岩ちゃんは睨みつけた。
「まあ、今まで莉緒を守ってくれてた事は感謝するけど、これからは私が莉緒を守るから。お役御免よ。」
「はあ!?」
「まあまあ、二人共落ち着いて。」
ヒートアップする二人の間に割って入ると、岩ちゃんに後頭部を掴まれた。そして、物凄い力が加わる。痛いと言う俺の声を無視し、どんどんその力を強める岩ちゃん。
「クソ川、お前も余計な事はすんなって念を押してただろうが。」
「岩ちゃんご、ごめん!で、でもさ、結果オーライでしょ!」
その光景を見て、莉緒ちゃんは笑った。
お節介が過ぎたかな、って思ったけど、多分、これで良かったんだ。莉緒ちゃんが笑ってくれるならそれでいい。