第7章 交わる想い
莉緒ちゃんもその異様な光景な驚いた様子だった。
「美鈴さん…?」
「莉緒ごめん!私莉緒の才能に嫉妬してた!莉緒はいつも一生懸命で、でも誤解されやすくって。莉緒が誰よりも練習を頑張ってるのも私が一番知ってたのに、私は莉緒を裏切った。莉緒に酷い事をした!沢山傷付けたし、辛い思いもさせた。謝って許される事じゃないってのは分かってる。でも、どうしても莉緒に謝りたかった!莉緒が私と話したくないのは分かってる。それでも、謝りたかった。勝手な事ばっかり言ってごめん。」
頭を下げたまま、叫ぶようにして謝罪の言葉を並べる四宮さん。それに莉緒ちゃんは戸惑っているように見えた。
「…謝るのは私の方です。」
莉緒ちゃんの声は震えていた。
「私は無神経で、いつも誰かを傷付けてた。生意気だと言われる私を初めて庇ってくれたのが美鈴さんで、私は美鈴さんの優しさに甘えてました。美鈴さんが一番辛い時、私は美鈴さんの気持ちを考えていなかった。美鈴さんとバレーがやりたいっていう、その一心で、美鈴さんを傷付けてしまいました。…すみませんでした。」
「違う!悪いのは私!だから莉緒は自分を責めないで。私を憎んでくれればいい。」
「美鈴さんは、私の事、今でも嫌い…ですか?」
「そんなの、当然、大好きに決まってんじゃん。」
そう言って優しい笑顔を浮かべる四宮さん。それは俺が初めて見る、嘘偽り無い、彼女の本当の笑顔だった。
「私も、美鈴さんが大好きです。」
どんなに辛い事があっても涙の一つも見せなかった莉緒ちゃんの瞳から涙が流れた。初めて見る、莉緒ちゃんの涙だった。