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【HQ】Egoist

第7章 交わる想い


「ねえ、及川!及川ってば!」


 電車を降り、黙って莉緒ちゃんの手を引いて走る。それを不安に思った莉緒ちゃんが何度も俺の名前を呼んだ。莉緒ちゃんになんて説明をすればいいのか。言葉が浮かばなかった。ただしっかり、莉緒ちゃんが逃げ出さないように、莉緒ちゃんの手を強く握り走り続けた。
 岩ちゃんを振り切れたのは良かったけど、あの様子じゃ、隣の駅で降りて引き返してきそうだ。流石にそれをマッキーとまっつんが止め切れるとは思わない。ていうか、マッキーにもまっつんにもちゃんと説明してないし。戻ったら相当怒られるだろうな。時間はあまり無い。そう思い、四宮さんに電話をかけた。そして何度目かのコールで四宮さんが電話に出た。


「四宮さん、まだ大学!?」
『そうだけど。何?忘れ物?』
「外に出てきて!急いで!もうすぐ着くから!」


 そうだけ言って電話を切った。


「ねえ、及川!なんで…!私嫌だよ、絶対大学に戻らないから!」


 莉緒ちゃんは俺の手を無理矢理解こうとしたが、俺はそれを許さなかった。


「莉緒ちゃん、ちゃんと四宮さんと話そう!」
「無理だよ!あの人は私の事が憎くて、嫌いでたまらないんだよ!許してなんかもらえないんだよ!」
「だからって、逃げてばっかりいたって、何も変わらないでしょ!莉緒ちゃんはどんなに辛い事があってもバレーからは逃げなかった!なら、四宮さんからも逃げないで、ちゃんと二人で話しなよ!」


 莉緒ちゃんが本気で四宮さんの事を怖がってるのも理解してる。それなのに、こんな言葉しかかけれないなんて、自分でも酷いと思うけど、この二人は、ただお互い気持ちにすれ違いがあるだけだから。だから、誰かが間に入って、ちゃんと話をさせないと、何も変わらない。
 大学の校舎が見えてきた。そして、正門には四宮さんの姿。


「遅くなってすみません。岩ちゃん撒いてきたので、多分そんなに時間ありません。」


 そう言うと、四宮さんは、その場に土下座をした。外で、人目もあるし、その異様な光景に、歩行者から注目をあびた。


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