第6章 許されない過去(四宮視点)
正門の方へ向かい、外を見渡すも、及川の姿はまだなかった。及川は何をあんなに慌ててたのか。それに、外で待ってる事になんの意味が?そんな事を思いながら及川を待った。すると、向こうの方から誰かが走ってきた。
「う、そ、」
走ってくる人物は、及川と莉緒だった。及川は莉緒の手を引いて、こっちへと走ってくる。岩泉の姿は見えない。
『二人で話せる機会を作るので』
そう言ってくれた及川の言葉が頭に浮かんだ。本当に、莉緒と話すチャンスをくれた。多分、このチャンスを逃せば、きっと私と莉緒の関係は本当に終わってしまう。
「遅くなってすみません。岩ちゃん撒いてきたので、多分そんなに時間ありません。」
及川に手を握られた莉緒は、岩泉と離れたせいか、今まで以上に怯えた様子だった。
言うんだ。ちゃんと、言うんだ。莉緒に私の気持ちが伝わるように、ちゃんと。プライドなんかいらない。本当に反省してるって伝わるよう、莉緒に謝るんだ。
私は、人目も憚らず、その場にしゃがみ、地面に両手をついて頭を下げた。