第6章 許されない過去(四宮視点)
翌日、今度は青葉城西のバレー部が大学に来て練習をする事になっていた。莉緒と早く話したくて、私は大学の正門でバレー部が来るのを待った。
予定の時間より少し早くバレー部の皆は到着し、それを笑顔で迎えた。が、180近い部員達に囲まれた莉緒はそこにいるのだろう位でしか認識出来ず、莉緒の顔すら見る事が出来なかった。笑顔で及川を手招きし、及川は苦笑いを浮かべ私の元へ。
「約束忘れてないでしょうね。」
もう、及川を頼るしか、私が莉緒と二人で話すチャンスはない。
体育館に皆を案内し、早速練習が始まる。練習が始まれば岩泉は莉緒から離れるし、チャンスだと思ったのに、レギュラーでない部員達にことごとく邪魔をされ、莉緒に声を掛けることすら出来ない。笑顔で対応するも、イライラはどんどん募っていき、試合中の及川を睨むことしか出来ない。
試合が一区切りし、休憩の時、及川を呼ぶ。
「話す機会くれるって言ったじゃない!どうにかしなさいよこのグズ!」
及川に当たった所で打開策が見つかる訳では無いと分かっているが、このイライラをぶつける相手が及川しかいなかった。
「もういい。アンタなんか頼らない。他人に頼もうとした私が馬鹿だった。」
他人を頼る時点で私は間違えていた。無理矢理でも莉緒を岩泉からひっぺがして話しをするしかない。