第6章 許されない過去(四宮視点)
「四宮さんは莉緒ちゃんに謝罪したいっていう意志があるって思っていいんですよね?
あんな威圧的な態度じゃ、謝ろうとしてるなんて思えないですよ。」
謝る意思はある。けど、いざ莉緒を目の前にすると素直になれない。自分の態度に問題があるのは自分でも分かってる。でもそれを人に言われると腹が立つ。
「莉緒ちゃんに本当に謝りたいと思う気持ちがあるなら、まずその態度を改めて下さい。」
「年下のくせに生意気。」
「年下に世話をやかせてるのはどこの誰ですか?」
「莉緒の事好きだからって私との仲を取り繕って好感度上げようとしてるの見え見えなんだけど!」
親切心もあるのかもしれない。けど、明らかに及川は莉緒に好意を寄せていて、自分の好感度を上げるために私を利用しようとしてる気がしてムカついた。
なのに、私がそれを言うと、及川は驚いた表情。鳩が豆鉄砲を食ったようとは正にこの事。莉緒に好意がなければこんな面倒な事絶対首を突っ込まない筈なのに、私にそれを指摘されて、酷く驚いた様子の及川は恐らく無意識、というか、自分の気持ちに気付いてない?
「あー、わかった。態度改める。」
及川が莉緒の事を好きという事については本人も気付いてないようだし、目を瞑る事にした。
そして及川は私と莉緒が二人で話す時間を作ってくれると約束してくれた。
話が一段落し、及川と連絡先を交換し別れた。