第6章 許されない過去(四宮視点)
「どうして態と自分が責められるように話すんですか?
普通こういう話をする時、自分を擁護するように話すものですよ。なのに、四宮さんは自分が責められるようにしか話さない。まるで、俺に責められるのを待ってるみたいに。」
「私は事実を偽りなく話してるだけ。」
「そうかもしれません。でも、俺には四宮さんが自分の過去の罪の意識から誰かに責められるのを待ってる風にしかみえません。
莉緒ちゃんの事、嫌いじゃないですよね?莉緒ちゃんに話があるっていうのも、過去の事を謝罪したいからじゃないですか?」
コイツには、私の考えが全て見抜かれていた。
「…馬鹿な女って思ったでしょ?自分で関係を壊しておきながら、莉緒を失ってから莉緒の存在の大きさに気付くなんて。」
素直になれない意地っ張りで強情な自分に嫌気がする。
「思いませんよ。四宮さんは、それに気付かせてくれる人がすぐ傍にいてくれなかっただけだったんだと思います。俺も似たような経験があるから四宮さんの気持ちは分かります。けど、四宮さんが莉緒ちゃんにした事については許せないし、俺も岩ちゃんと同じ立場だったら、四宮さんに対して岩ちゃんと同じような態度を取ってるかもしれません。」
及川から言われた意外な言葉に正直驚いた。そんな風に言ってくれる人がいるとは思わなかった。主将というのは、どこもこんな奴ばかりなのか。…いや、私だって高校生の時は主将だったが、鳩宮さんや及川みたいに出来た人間じゃなかった。