第6章 許されない過去(四宮視点)
「莉緒は入部した時からずば抜けてセンスが良くて、先輩達から嫌われてたわ。二、三年を差し置いてレギュラー勝ち取って、レギュラーを取れなかった先輩達から随分嫉妬されてたし莉緒自身生意気だったし、嫌われて当然な子だった。」
違う、莉緒は生意気なんかじゃない。少し不器用なだけ。嫌われて当然なんて思ってなかった。
「私だって、あんな子好きじゃなかったわよ!」
違う。好きだった。大好きで大切で、掛け替えのない存在だった。
「あの子以上にチームに得点を稼げる子がいなかった、それだけの事よ。別に仲良くした覚えもないし、ずっと鬱陶しくてたまらなかった!
アンタには分からないでしょう!後輩に、しかも違うポジションの奴に、ポジションを奪われた私の気持ちが!」
思っている事が言葉として出てこなかった。なのに、及川は、私の心の中が読めるみたいに私の心の声を拾っていった。だから、私の事を否定して、ひどい奴だと罵って欲しくて、莉緒にどんな事をしたか、洗いざらい、嘘偽りなく、全てを話した。