第6章 許されない過去(四宮視点)
青葉城西の方へ行くと、何やら不穏な雰囲気。イライラしてる岩泉に、声を掛ける恐らく後輩。それに何でもないと答える莉緒と岩泉。
「莉緒も岩泉も可愛い後輩に心配掛けちゃダメでしょ?」
そう言って、その輪の中に入った。すると岩泉は綿から莉緒を庇うように、莉緒の前に立った。
「何の用だ。」
「岩泉に用はないんだけど。私は久しぶりに莉緒とゆっくり話したいだけ。」
「お前と話す事なんか何もねーよ!」
「岩泉には聞いてない。」
「ねえ、莉緒。話すこと、あるよね?」
莉緒は岩泉の後ろで震えていた。
「だから、ねーつってんだろうが!」
「…一君、大丈夫だから。私も、美鈴さんと話たいことあります。」
震えながらもそう答えた莉緒。やっと、話せる。
「まあまあ、また午後からも練習あるし、部活終わってからでもいいんじゃない?」
そう言って声を掛けてきたのは青葉城西の主将及川。
「俺もこんな美人とは仲良くなっておきたいし、俺も入れて四人で部活終わったらごはんついでにどっか行こうよ。」
「私は莉緒に話があるって言ってんだけど。」
岩泉ならまだしも、部外者を交えて話すつもりなんかない。それに、私はこういった軽い奴が何よりも嫌い。
「まあまあ、皆久しぶりの再会で積もる話もあるだろうけどさ、今は休憩中とはいえど、部活中だよね。」
そう言った及川の表情は冷たかった。さっきまでヘラヘラ笑ってたくせに。まあ、真面目に練習に取り組んでる奴らがいるのも事実だし、そいつらの邪魔をしようとは思ってない。莉緒は話すと言ったんだから、それでいい。そう思い、自分のチームの元へと帰った。