第6章 許されない過去(四宮視点)
「すみません、失礼します。」
そう言って、人の中を掻き分けてやってきた青葉城西のマネージャー。
「うちのマネージャーの橋口莉緒です。」
そう彼に紹介された彼女を見て、心臓が止まるかと思った。
「…莉緒?」
私の目の前に現れたのは、紛れもない、莉緒本人だった。
「え?知り合い?」
そう尋ねる及川君に対し、莉緒は黙って俯いた。
「高校の時、部活が一緒だったんです。莉緒は莉緒が一年の時に引っ越してしまって、それ以来で、私も大学からこっちに引っ越してきたので、まさかこんな所で再会するなんて思ってなくて、ビックリしちゃいました。
ね、莉緒、久しぶりだね。」
平然を装い莉緒に話しかけるが、私の心臓はリズムを早めた。会いたくて、謝りたくてたまらなかった莉緒が目の前にいる。
「…ボトルまだ置いてきたままなので、取ってきます。失礼します。」
そう言って莉緒は外へと走っていった。それを追いかけようする及川君を私は止めたが、それを断り及川君は莉緒を追っていった。
「岩ちゃん!ごめんちょっとお願い!すぐ戻るから!」
あとを任された岩ちゃんと呼ばれた彼の方を見ると、そこにいたのは、岩泉だった。
「なんでお前がここにいんだよ?」
岩泉のいる高校だったらいいのに、そう思って来た青葉城西に岩泉と莉緒がいた。