第6章 許されない過去(四宮視点)
高校生との練習試合の日。相手は青葉城西高校。宮城の男子バレー四強のうちの一つと言われているが、ここ数年はいつも白鳥沢学園に破れ準優勝止まり。どうせ練習試合するなら、準優勝止まりの高校より、毎回優勝してる白鳥沢の方が良かったのに、なんて思いながら青葉城西高校へと向かった。
青葉城西は思ってたよりも大きな高校で、高校だっていうのに、体育館も沢山あって、部活に力を入れてる高校だというのが分かった。
バレー部がいるのは第三体育館。
部員達と共にバレー部のいる第三体育館へと向かった。体育館へ向かう途中、高校生達とすれ違ったが、私の姿を見て美人だなんだと話していた。
「こんにちは!今日はよろしくお願いします!」
体育館に入り、鳩宮さんが挨拶をし、それに合わせ私達も挨拶をする。すると、一人の男の子が走ってきた。
「こんにちは、主将の及川です。今日はわざわざお越しくださり、ありがとうございます。よろしくお願いします。」
そう言って挨拶をする高校生の姿を見て驚いた。運動部というよりは、アイドルとかそんな感じのキラキラした男の子。まあ、全然私のタイプじゃないけど。
鳩宮さんは向こうの主将に挨拶をし、握手を交わす。
「マネージャーの四宮です。何かお手伝い出来ることがあったら言ってくださいね。よろしくお願いします。」
いきなり高校生相手に噛み付くなよと言われたのもあったのと、一々高校生に目くじら立てて相手にするつもりもなく、当たり障りのないよう、感じ良く見えるよう、挨拶をした。
「うちにもマネージャーがいるので、その子の事手伝ってもらえたら助かります。
ねー、温田っち、莉緒ちゃんは?」
莉緒という名前に思わずドキリとした。莉緒なんて、在り来りな名前だし、同じ名前の子なんていくらでもいる。そう思ったのに、莉緒という名前を聞いただけで、なんだか落ち着かなかった。