第6章 許されない過去(四宮視点)
「高校生と練習試合?」
「そうだ。県内で四強といわれる強豪校だ。」
「そうは言っても相手は高校生ですよ。
相手になんないでしょ。時間の無駄。」
「時間の無駄かどうかはやってみないとわからないだろ?」
鳩宮さんは気遣いが出来て、周りをよく見ている。頼まれたら断れないタイプかつ、困ってる人はほっとけない人。根っからのお人好し。そんなんだから、明らかにレベルの低い大学との練習試合とか引き受けたりする。そして、今回は高校生。
「鳩宮さん。断るって事、覚えた方がいいですよ。」
「いやー、相手のセッターが凄く有名でさ、間近でセットアップ見てみたいんだよね。歳が離れてるから大会で当たる事なんてないしさ。」
「鳩宮さん、お人好しっていうか、都合のいい男って感じですね。」
「おい、最後のは一言余計だぞ!」
高校生と聞いて、浮かんだのは岩泉の顔だった。岩泉と会ったのは二回だけで、制服を着てたけど、どんな制服だったかあんまり覚えてない。散々莉緒から岩泉の事を聞かされてたのに、学校名は聞いてない。いや、言ってたのかもしれないけど、県外の学校名なんて言われたって、覚えられる訳ないし。まあ、高校なんて何十校もある訳だし、そんな運良く岩泉のいる学校とたまたま練習試合なんてそんな都合のいい話ある訳ないし。