第6章 許されない過去(四宮視点)
大学に入り、また初めの頃は美人だなんだとチヤホヤされたが、私はあの一件で更に性格がひねくれ、異性に対しては高圧的な態度、同性に対しては心を開けず、性格ブスと言われたが、別にそれで良かった。楽しい大学生活を送ろうと思って引っ越してきた訳ではないのだから。
サークル勧誘もあったが、私はバレーをするのが怖かった。あれだけ夢中になったバレーだったが、結果として私のバレーは沢山の人を傷付けた。人を傷付けるのも、自分が傷付くのも懲り懲りだった。なのに、気が付くと、バレーをやってる人達が目に入り、気が付くと、体育館に足を運んでいた。
「バレー好きなのか?」
そう言って私に声を掛けてきたのが鳩宮さんだった。嫌いだと答える私に、しつこく話しかけてくる鳩宮さんがうざくて、鬱陶しくてたまらなかった。どこから情報を得たか、私が高校の時バレーをしていたという話を聞いてから、鳩宮さんはバレーをやろうとしつこかった。あまりにしつこかったので、怪我を理由に出来ないと話をしたが、それならマネージャーはどうだと、マネージャーをやらないかと勧めてきた。それを断っても断っても鳩宮さんはしつこく勧誘を続けた。
そのしつこさに心折れた私は過去にあったイジメの事、チームメイトと揉めた事を嘘偽り無く全て話した。だからバレーは出来ないし、バレーに関わりたくないと。それなのに、
「そらは高校での話だろう。お前が今ここでバレーをしない事とは関係ない。まだバレー好きだろう?」
そう言われた。
「私はまた同じ過ちを繰り返すかもしれないし、こんな自分がチームに馴染めるとも思わない。私はチームの輪を乱す存在にしかなれない。」
「なら、四宮が同じ間違えを繰り返さないように、俺がちゃんとみててやるから、今までの自分の努力を自分が裏切るな。充分過去の事については反省してるんだろう?
そうやって、人を傷付け、自分も傷付けたお前だからこそ、出来ることだってあると思うよ。」
そう言ってくれた鳩宮さんの熱心さと、私という面倒くさい人間を理解し、支えてくれようとしてる彼に折れ、私はマネージャーになった。