第6章 許されない過去(四宮視点)
翌日から、莉緒に対するイジメが始まった。
莉緒の荷物をゴミ箱に捨てることから始まり、シューズの靴紐を切る。そして部活に来た莉緒とは一切喋らない。私が言った訳じゃないけど、恐らく誰かが後輩達にも根回しをしたようで、一年生でさえ、莉緒とは関わろうとしない。練習中も莉緒からのトスを打つ部員は誰もいなかった。その異様な光景に監督も気付いていたが、彼は何も言わなかった。そのせいで、莉緒の立場はどんどん悪くなっていった。でも、それで良かった。もう、莉緒と関わりたくないし、この環境に耐えきれず退部してくれることを願った。
でも、莉緒は部活を辞めなかった。
無視しても無視しても、莉緒は私の名前を呼び続けた。悲しそうな顔で、悲しそうな声で。そんな莉緒に対して、嫌悪感が募っていった。
何をしても部活を辞めようとしない莉緒に痺れを切らし、莉緒を呼び出した。
「アンタなんかいなければ良かったのに!早くバレー部から出ていってよ!」
可愛くてたまらなかった筈の莉緒にこんな酷い事を言える自分に驚いた。でも、それが今の私の本心だった。そう言った時の莉緒の悲しそうな表情が印象的で、少しの罪悪感が芽生えた。でも、それを咎める人は誰もいなかったし、その私の言葉に皆そうだと頷いた。
それから莉緒は部活に来なくなった。莉緒が部活に来なくなった事で、チームの雰囲気は元の良い雰囲気へ戻ろうとしていたのに、一週間後、莉緒はまたバレー部に戻ってきた。私がこんなに苦しんでるのに、どうして莉緒は私の気持ちが分からないの?
莉緒に対する怒りがもう抑えられなかった。