第6章 許されない過去(四宮視点)
初めての骨折は、不便なものだった。部活に参加出来ないだけじゃなく、日常生活も困難。ノートを取るのも、着替えをするのも、ご飯を食べるのもお風呂に入るのも大変だった。
こんなにもバレーから離れる事なんて今までなくて、ボールに触れたくて仕方なかった。コートにいる皆が羨ましくてたまらなかった。
長い長い二ヶ月だった。
二ヶ月が経ち、ようやくギプスが外れた。久しぶりに指が自由に動かせる事が嬉しかった。リハビリが必要ではあるが、部活も無理のない程度ならやってもいいと医師からの許可もおり、久しぶりに皆とコートに立った。莉緒にトスを上げられる事が嬉しかった。けど、トスを上げる度に感じる違和感。前と同じようにやってるのにタイミングが上手く合わないし、ボールに触る指先の感覚が違う。久しぶりだし、そんな事もあるだろうと最初は気にしていなかった。
でも、その違和感は練習を重ねる度に増していった。