第1章 紅薔薇【黒バス:火神】
覚悟していたような激しいキスではなく優しく唇を重ねるだけのキスにびっくりして目を開ける。
「何驚いてんだよ、ハハ」
私の身体に敷かれているはずなのに、図体と同じ位態度デカく、笑っている。
(……なんかムカつく!)
帰国子女だかなんだか知らないけど、いくらなんでも態度がでかすぎる。
衝撃から回復して少し落ち着いた私は反撃に打って出た。
「アメリカ帰りだからどんだけすごいキスされちゃうのかと思ったら全然お子様だったみたいで驚いてるのよ」
嘘ではない。
ちょっと盛った気もするけどその辺は無視しよう。
火神はわかりやすい位に挑発に乗ってくれた。
こめかみのあたりがピクピクしている。
(言い過ぎたかな?)
火神はただでさえ悪い目つきをより剣呑にしていやな笑い方をする。
「ふぅーん 先輩はこーいうこともオレより先輩なんだってことだな?」
「あ、当たり前でしょっ!?」
これもまた嘘ではない。
去年付き合っていた先輩と一応経験はしている。
………ヤツの二股で別れたけどね。