第1章 紅薔薇【黒バス:火神】
お風呂から上がってキャミソールとショートパンツにフード付きのスウェットを羽織る。
普段はスウェットなんて着ないけれど、流石に男の子の前にほとんど下着で行くのは憚られる。
髪を乾かして客間に戻ると火神は机に突っ伏して寝ていた。
腕の下には間違いだらけの回答が。
(全くどこまで馬鹿なのよ…)
呆れてため息しかでない。
ふと、横を見ればお皿とコップが見事に空になっていた。
「……フフッ」
嬉しくて笑いが零れ落ちた。
タオルケットを肩に掛けてやり、食器を片付ける。
なんだかんだで可愛い後輩である。
(まあ、だから好きになっちゃうんだけどね…)
洗い終わったお皿とコップを立て掛けながら時計を見る。
針は11時を指していた。
今日はこの辺にして、また明日にしてあげよう。
二階に上がって客間を覗くと先ほどと同じ格好で寝ている。
起こすのも可哀想なので、座っている隣に布団を敷いて、ゆっくり押し倒す。
身長差が40センチ以上あるので起こさないように倒すのはかなり至難の業だ。
四苦八苦しながら倒し終わった時、急に右腕を引っ張られた。