第9章 多分、これが次の章ってやつ?
エアフルトの王が帰還すると知ったクライブさんは朝一番で馬を走らせ隣国へ私を逃亡させるためにミストさんの元へ向かい、この誘拐作戦を立てたそうだ。
私が城内にいる時に急にクライブさんが居なくなってしまったのはこの為だった。
「だけど、偶然その頃クライブに所用があってエアフルトに行ったんだが、クライブとは入れ違いになってしまったらしくてね。まったくタイミングが悪かった。その最中に逃亡中の君とぶつかっているんだよ。」
「あれ、じゃああの時探してた、なんか名前の長い人って」
「あぁ。君の目の前にいる」
「クライブさん、めっちゃ名前長かったんですね・・・」
「面倒だから、クライブで通しているんだが、今回ばかりは仇になったな」
そうだよー!あの時ミストさんが探しているのがクライブさんだと知ってたら、こんなややこしい事にならなかったのに!
・・・いや、そもそも私自身がややこしい存在、だよね・・・
「エアフルトに数日滞在してから帰宅したら満身創痍のクライブが居るんだ。流石に驚いたよ。挙句に君の事を矢継ぎ早に説明されたと思ったら、助けたいから協力しろ、と来た。その時君の容姿を聞いて更に驚いたよ。銀色の髪なんて、この世界にまず居ないからね。それで、あの時の少年かと合点がいった訳だ」
で、行き違いになりつつも、隣国で無事ミストさんに会えたクライブさんはエアフルトへとんぼ返り。帰り道は船でエアフルトに入り込むとバレちゃうから、途中で船から降りてわざわざそこから全力で走ったらしい。
この夜が丁度王様との謁見の前日で、私はクライブさんと牢屋越しに会う事が出来たみたい。