第1章 テロみたいなプロローグ

「僕はヘルプみたいな存在だから、ちょいちょいあんたの前に姿を現すかもしれないからよろしく」


「ねぇ、そういえばあんた名前は！？」

「僕？適当に呼んでくれればいいよ」



くっそ。この余裕ぶった態度がムカつく
でも多分神様とかその使いとか、逆らっちゃいけない存在だろう


人ひとり異次元に送る力があるんだもんな、この意地悪案内人。


そうだ。イジワルイからルイ君って呼ぼう・・


心の中で意地悪返しをしながら繕って言葉を出す



「じゃあ、ルイ君っていうのはどう？君付けでいいの」


「うん、いーよ別に」


「昔買ってた猫の名前だけど」


嘘をぶっこく。


「ふーんそう。あ、そうだ。折角だから、あんたのアバター変えようよ！」


「なにそれ！？変えられんの？」

「髪の色や長さくらいなら。折角ファンタジーなんだから楽しんだら？」

ファンタジーと聞いて心がちょっとだけ揺さぶられる

「どうせなら思い切っちゃえば？」


「じゃあ、銀髪がいい！腰くらいのロング！」

好きだったゲームのキャラクターに銀髪の強くてカッコイイ女の騎士がいて、私は憧れていた。
折角なら、そんな髪になってみたい。
どうせ現実じゃかなわないもん。


「はーい。じゃあ変えますよー」

途端にばさりと銀色の束が私の頭から垂れ下がる

「おぉぅ！？」

おそるおそる根元を探り、本当に生えているのか確認する。
間違いない。私の頭皮から銀髪が生えてる。

サラッサラのそれを掌で流してみる
ファンタジーな世界の、憧れていた一つが私の物になり、気分が高揚する


「気分があがった所で、じゃあ頑張ってちょーだい」


電話の様にブツンと音がして、それっきりルイ君の声は聞こえなくなった



気が付いたら、景色はもうあと数メートルに地面が待っていた。