第5章 巧みに躱せ、最悪のルート
夕食の後、紅茶を入れてもらいながら一息ついていると
従者の一人からことづけがあった
クライブさんが来てくれたらしい。
部屋に入ってもらうように従者に返事をする
そうそう、ダリさんとステアから聞いた話では
この世界で騎士っていうのは、結構荒っぽくて泥臭い感じの人が多いんだって。
真面目で実直で忠誠とかすごくて
・・・とそういう騎士は今はあまり居ないんだとか。
で、クライブさんは「ぼくのかんがえたりっぱな騎士様」を地で行く稀な存在らしい。
ただ弱点が。
演習だと右に出る者は居ないのに、実践ではまるきりダメなんだとか。
・・・致命的じゃないそれ?
あ、だから私を助けてくれた時、ステアが先に山賊をやっつけてくれたんだろうか?
「失礼します」
「クライブさん、お疲れ様!」
従者には下がるようにお願いしたけど、それは流石に駄目だった。
なのでドアのあたりまで下がってもらう。
「実は、ちょっと気になる話を耳にして、アリーチェに伝えて置こうと思って」
「なに?」
「王が、あと6~7日後に城へ帰って来る」
「うん、それは知ってる。一応挨拶しないといけないよね?」
「それが・・・」
言いにくそうにクライブさんが言葉を続ける
「アリーチェが女性であることを王が直々に確認し、間違いがなければそのまま婚礼の儀が始まるそうだ」
「え?ま・・待ったちょっと待った!女性って確認って・・・」
さらに言いにくそうにクライブさんが口を開く
「司教様立ち合いの元、・・その・・・あの・・・か・・下半身を・・・」
「か、下半身を!?」
「だからその・・・確認して・・・そういう事だ」
『ぼくのかんがえたりっぱな騎士様』にはこれ以上はさすがに言えないらしい。
でも、何をどうされるのかはもう私には十二分に伝わった。
おまたを見てみて凹んでいたら結婚って事ね!!
何なんだよそれッ!!
股から始まるお見合いってアホか!
冗談じゃない!!
「念のため聞くけど、もし私が男だった場合は?」
「その場で即、斬首だそうだ」
ルイ君にお願いしてその時だけ男にしてもらおう!
なんて淡く抱いた期待も粉々。チーン☆